小山 匡子
茶みゆハンドクリーム開発者|株式会社スモールウィン代表取締役社長。
大手化粧品原料メーカーや大手化粧品メーカーに技術アドバイスを行っています。その他に茶道の考え方をビジネスの課題解決につなげる「茶道思考」講座を開設。経営者層に自分と向き合う時間と利他心を養う場を提供しています。
茶みゆハンドクリーム開発者のインタビュー
開発者・小山さんのハンドクリーム製造・販売に至るまでの想いや背景、こだわり、エピソードなどを交えてインタビュー形式で紹介します。熱意あふれる開発者のストーリーに注目して、茶みゆハンドクリームの魅力に迫ります。(聞き手・R)
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———まず、化粧品開発者になったきっかけを教えてください。
幼少の頃から茶道の稽古をしていました。当時、子供ながらに落ち着いた時間や五感で感じる茶道に魅力を感じていました。茶道の稽古をしている中で「抹茶茶碗の色や形はどのように生まれているのか」と疑問を抱き、それが化学の道を目指すきっかけになりました。大学では物理化学を専攻し、アミノ酸系原料の会社へ研究職として入社します。
———小山さんは、化粧品開発者と茶人として両立されているユニークな経歴をお持ちですが、どのような経緯があったのでしょうか。
仕事では学会の技術奨励賞受賞など研究者として実績を残し、女性管理職にも抜擢されました。
しかし、朝昼夜と絶え間なく仕事をしていたので、体調を崩してしまいました。その頃には茶道を辞めていたのですが、知人から再度お稽古することを勧めてもらい、心から落ち着く時間が必要だと気が付かされました。子供ながらに感じていた茶道の魅力に再び引き寄せられていったのだと思います。
茶道を通して「静寂」「集中」「小さな変化に気づく洞察力」が磨かれました。また茶道で使われる「一期一会」「一座建立」の意味を仕事の中でも理解するようになります。私にとって茶道は仕事に好影響を与えてくれました。
———株式会社スモールウィンの代表でもある小山さんですが、起業に至った理由を教えてください。
50歳を過ぎた頃、親の看護や介護の負担が大きくなり、サラリーマンとして化粧品技術の仕事をつづけるには、職務が全うできないと思うようになりました。悩んでいた頃に「高校で茶道の先生をしてくれないか」と突然の依頼の電話が入ってきました。県立高校の茶道部の指導者を探しているということで茶道指導者のリストから探されたそうです。
親の介護の時間を確保しつつ、茶道に関わる時間も充実させたいと決意し、会社を退職しました。そして、自分の培ってきた技術や知識・経験を広く伝えたいと思い、2021年に株式会社スモールウィンを設立しました。
———茶みゆハンドクリームの最大の特徴「天空の茶畑®︎オイル」との出会いについてお聞かせください。
2022年1月、化粧品開発展で株式会社コーワの茶の実オイルを展示しているブースを訪ねたことがきっかけです。そのブースには「天空の茶畑®」と大きく書かれていて、茶畑をアピールしていたので興味が湧きました。元々、チャ種子油の名称の化粧品原料は知っていましたが、天空の茶畑とは何かとても気になりました。その茶の実オイルは、岐阜県揖斐川町の耕作放棄茶畑から採取しているものでした。
そして、山田泰珠さんという茶の実の有効活用に貢献している方と出会います。「岐阜のマチュピチュ・天空の茶畑」と呼ばれている地で、自らも耕作放棄された茶畑を借り世話を始め、茶の実オイルに着目されていました。山田さんは「茶の実はこの地域の埋もれた資源。茶の実に第二の人生をかけてみよう」と考えられたそうです。
私も茶に親しみ、自然に敬意を表する茶人として、茶の実オイルについても大事に価値を育てたいと感じました。
———耕作放棄茶畑から採取されているとのことですが、耕作放棄茶畑とは何でしょうか。
茶農家の後継者不足や茶の需要の低下から、耕作放棄される茶畑のことです。岐阜県揖斐川の茶園も茶農家の後継者不足により3分の1に減少しています。耕作放棄茶畑はそのままにしておくと荒廃していき、隣接する茶畑に悪影響を与えてしまいます。
茶みゆハンドクリームは茶道を嗜む仲間達が耕作放棄茶畑に奉仕する思いに「いいね」と賛同してくれたことから始まりました。この耕作放棄茶畑の課題を多くの人に知ってもらうため、茶みゆハンドクリームを通して広報活動になればと考えています。
———小山さんも実際に耕作放棄茶畑を訪れたそうですが、そのときの感想を教えてください。
岐阜県揖斐郡揖斐川町の茶畑は、室町時代に京都の茶が揖斐に入ってきたそうで、茶園として商業化されたのは江戸か明治頃らしいです。近隣県へ茶葉を流通させたので、大規模では無いものの一帯は茶畑でした。実際に行って実を採取してきました。茶の実や花や蕾は、一つの枝のあらゆるところについています。茶の実は、花が受粉してから、約1年かけて実になります。10月に開花し、翌年の10月に実がなります。1年かけて大きくなった実を採取し、茶の実油にしているので、大変貴重な恵みなのだと感じました。
茶畑らしい畝になっている箇所と不揃いなラフのような箇所が、パッチワークのように点在しています。この不揃いとなっているのが耕作放棄茶畑です。今でも茶農家として耕作されている土地所有者と、耕作放棄になった土地所有者とが混在している様子が分かりました。
私はこれまで農業とは無縁だったので実感がなかったのですが、地域の協力で成り立つ事を茶畑から感じました。急須で入れた緑茶を知る世代として、ペットボトルの茶の誕生とともに、茶畑や茶農家の形が変わってきたその先の将来について考えたいと思いました。その先の日本食文化の緑茶、日本文化の茶の湯にも目を向けてもらいたいです。
———茶みゆハンドクリームの名前の由来について教えてください。
この活動を通して多くの茶人や茶に関わる人と出会い協力いただきました。お茶のご縁が実を結び「茶・実・結」が由来です。日本らしく平仮名を交えて『茶みゆ』と名付けました。
———どんな方に茶みゆハンドクリームを届けたいですか。
大事なものを扱う、大切な手を潤すために使ってもらいたいです。小さなお子様をお持ちのパパが、ほっぺを触るのに手がガサガサではかわいそうだからと、このハンドクリームを使っていると、嬉しい報告もいただきました。同じお茶の仲間にも大変喜ばれています。老若男女問わずお使いいただきたいです。
———茶みゆハンドクリームの今後の展望を教えてください。
天空の茶畑オイルをもっと高配合したラインナップをそろえていきたいです。
さいごに
茶みゆハンドクリームが完成するまでの知られざるエピソードを聞くことが出来ました。世の中に流通する全ての商品やサービスには物語が存在します。小山さんの情熱が多くの人たちに届き、その想いを紡いで茶みゆハンドクリームが完成しました。
その想いが皆様にもお届け出来たことと思います。